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祝!!(祝?)記憶喪失編!!
というわけでまるっと30分銀さん争奪戦でした。
個人的に何故あの争奪戦に総督が出演していないのか甚だ謎でしたが(いやいやいやいや)、眉と眼の近い銀さんをありがとうアニ銀スタッフ。
スタッフも結構楽しんで作成してるみたいで、もう大好きアニ銀。
来週はジャスタウェイ。


記憶喪失の時に表れる性格は、その人の本来ある一面だという。




ふざけた話



怒りも呆れも通り越して、ただ笑いだけがこみ上げた。
生気が灯る眼球が一種異様に感じられ、別人のような印象を受ける。
きりりと寄せられた眉は、己の知る男と似つかわしくなくて、高杉はとうとう盛大に吹き出して笑い転げてしまった。
桂だけが、その態度に顔を顰める。
「笑い事じゃないんだぞ高杉。記憶喪失だぞ?」
「だ、からって・・・、車と事故って・・・って」
コイツらしいと言えばコイツらしい。

ひとしきり笑うと引き締まった表情を前から見据え、男前になったなァと呟いた。
いっそ何もなかったかのような綺麗なままの瞳と、血色の良い頬は育ちの良さを思わせるほどだ。
やけに感に障った。
車に引かれたぐらいで忘れられるような、その程度の過去だったのかと。
徐々に怒りへと戻る思考が、急激に冷え始めた心が、目の前に悠然と座る男への殺気を思い出させた。
音も感じさせずに、その確かに血の通う頬に触れた。

けれど、

「嫌なことぜーんぶ忘れて独りだけ真っ白になった気分ってのァ、どんなのだ?」

触れてくる細い指先を払いのけもせず、銀時は隻眼の男が嫌う微笑を浮かべただけだった。



白夜叉こと万事屋銀ちゃんこと坂田銀時が記憶喪失になった。
雑誌の帰りついでに車と正面衝突したことは周知の事実らしい。
どう言った経緯を辿ったかは知らないが、ヅラがその銀時ではあるが銀時ではない男を俺の元まで連れてきた。
一縷の望みをかけてだそうだ。
それなら連れてくる相手が少しばかり違うのではないのだろうか?
逆に苛つくだけだ。



「・・・風邪ひきますよ」
「あ?」
珍しく情けない顔の桂が訪れたときの様子を思い浮かべたところで、やっと返事が返ってきた。
それは返事という類のものではなく、あくまでも忠告に似た言葉だったけれども・・・。
窘めるようにそれでも穏やかに告げられて、高杉は一瞬茫然とした。
目を見開いた瞬間に羽織らされた上着の温もりにも、高ぶりが萎えた。
「今日は冷えます。着物一枚じゃ、風邪を召されますよ」
「・・・っ!」
カッと・・・、自分でも全身が赤くなるのを感じた。
優しい色に変わった声音は、己を蔑もうともしない。
普段、異常なまでに張られていた警戒の糸も、今はぷっつりと切れて跡形もなかった。
こんな男は、知らない。
俺の知る銀時じゃない。
「っ・・・ハッ!何だ、なにかの冗句かよ あァ?記憶喪失でもなんでも気持ち悪ィぜそりゃ」
「高杉」
鋭く飛んだ桂の言葉。
しかし、隻眼の口は閉ざすことを忘れてしまったらしい。
それでも過去を消すよりはましだと、少し混乱した頭で考えた。
「大体てめェのキャラじゃねぇだろう?俺に優しいなんざ反吐がでる。まだ忘れちゃいねぇぜ。てめェが俺にどれだけ辛辣だったかを、」
辛辣になったかを。
「それなのにお前だけ全部忘れてそれで終いか。いくらなんでも都合良すぎじゃねぇのか、ふざけるのも大概にしろ」
最後の方はほぼ悲鳴に近かったような気もする。
喉が張り裂けそうで、ともすれば嗚咽さえ零れてしまいそうで、ひどく醜かったような気がする。
男の温もりが残る羽織がひどく痛々しくて、掻き抱くように俯いた。
「・・・僕は」
「うるせぇ」
何処かで獰猛な獣の鳴き声がした。
幾分が戸惑いがちに絞り出された声を掻き消し、男の首に腕を絡める。
肩からずり落ちた羽織も、もうさして気にはならない。
ただ、機会だと言う獣のうなり声に従っただけ。
「なぁ、てめェは覚えちゃいないだろうが銀時という男は確かに俺に辛辣で、けれどそれでも俺を抱いていた。
手ひどいやり方で己だけが満足するように、俺の意志など無視で」
視界の片隅に、桂の背中が見えた。
立ち上がり様に揺れた黒髪の余韻は、すぐさま消える。
忘却の彼方にある過去を淡々と語られて、男の瞳は無意識に桂の後ろ姿に縋ったが、無駄だ。
赤い唇が微かに震えている。
「俺を忘れたかったんだろうな。過去の汚点として。けれどまた、新しい記憶に俺が刻み込まれてしまった」
「た・・、かすぎさ・・・ん」
「違うなんて言うなよ。銀時であった頃のお前はそれを望んでいたはずだから。別にそれを責めるつもりで言ってるわけじゃねぇよ」

俺が言いたいのは、

「生まれ変わるんだろう?新しい銀時として。じゃぁ過去に付けた傷を先に精算しないと」

俺が言いたいのは、

「俺に疵を付けられるのは銀時で、癒せるのも・・・分かるよなァ?」

今なら手に入れられる、

「癒し方も、分かるはずだ」

過去を失ったままの綺麗な男なら。



そんな虚言と偽善にも満ちた ふざけた話。




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