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「お前帰れ」
第一声が、それだ。
視線を合わせることなくただ一言放たれた言葉に、元親はその眉間に刻む皺を一本増やした。
どうあがいても似合いそうにもないコンビニのユニフォームの襟を正しながら、今来たばっかりなんだけど、と至極低い声で返す。
普通の人ならばたじと身を引いてしまう怒気を孕んだ声に、視線を合わそうともしなかった男は元親を一瞥すると大きなため息。
皺の寄った元親の眉間を軽く小突く。
「・・・そんな凶悪な顔で接客なんてしてみろ。これ以上店の客入りを減らす気か?」
「普段凶悪な顔つきをしてる奴が何言ってんだよ」
「これは生まれつきだからしょうがない」
だからお前、帰れ。
と、前後が繋がっているのか危うい冒頭の台詞をもう再度繰り返す。
「シフトは上手く誤魔化しといてやるから、さっさと帰りやがれ。そんな顔で隣に並ばれたら客がレジに来れねぇだろうが」
「・・・うっせぇ。放っとけ」
受け付ける気はないのかふいと視線をそらされる。
第一客なんてほとんど居ねぇじゃねぇか。
そのままだんまりを決め込んでしまった元親に、男はやはり似合わないため息を落とすばかり。
顔にかかる前髪を鬱陶しげに掻き上げると、切れ長の瞳を細める。
彼も元親から視線を外した。
見据えるのは真正面。
コンビニカラーの時計だ。
「つまんねぇ意地張ってねぇでとっとと謝って来いよ」
「・・・っ!?」
「日頃喧嘩らしい喧嘩もしねーバカップルがつまんねーことで意地を張るから長引いてんだろ。程々にしとけよ」
「ちょっ・・・と待て。・・・お前、・・・何で?」
鮮やかな銀髪が波を打って振り返る。
男は時計を見つめたままだ。
笑いもせず怒りもせず、ただ淡々と言葉をつむいでいく。
「結構噂になってんぞ?瑞鳳連のヘッドとそのイロが大揉めしたってな。・・・ま、俺はダチから聞いただけだが」
「イ、イロって・・・!!誰だよそのダチってやつは!情報源はどこのどいつだ!?」
「さあな。俺にとってはどうでもいいことだ」
「そ、りゃ確かにそうだけど・・・!」
だから帰りやがれと三度目の催促。
「何度言わせるつもりだソカベ」
「長曾我部だ!お前はいつになったら人の名前をまともに言えるようになるんだよ、優也!」
「体よく話題を摩り替えんな。ほら、さっさと帰って謝って来い。良くも悪くもお前はウチのバイトの中じゃ愛想が良い方なんだから、元通りのゆるゆるの顔に戻してきやがれ」
「てめっ・・・!」
散々な言われようだ。
・・・言われようだ、が。
これはきっと彼なりの気遣い。
短い付き合いとは言え、どういった状況にしろ彼はぶっきらぼうな言い方しかできないのを元親は知っている。
首の後ろに小さく爪を立てる。
ふうと一息。
男が見ていた時計を見やり、元親はがくりと項垂れた。
「・・・ぅー・・・」
「ここで唸るな。・・・ちなみにそのダチの情報だとお前と同じく気力をそがれたヘッドは今日の会合を中止して家に居るそうだ」
「・・・お前のダチって何者・・・?」
「俺から見ればただの阿呆だな」
きっぱりと言い放つ男を背に、とりあえず俺から折れるかと元親は片手を振った。
隻眼の竜にこうべを垂れる鬼なんてそうそう居ないよな、と呟きながら。





>>色々な設定を織り交ぜてみたんだけどこれ説明がないと絶対わかんない・・・。(笑)
オリキャラ出してすみません!!(土下座!!)・・・正確にはオリキャラではないんですけど・・・ね・・・。ごめんみんな・・・。ちょっとワクワクして調子に乗りすぎたよ・・・。
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