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ガラスに滴る水滴が、部屋と液体の温度差を伝える。
コップの三分の二以上残された炭酸飲料の氷は溶けきっている。
恐らく味も薄くなっているだろう。
小さなテーブルの上に置かれた4つのコップのうち、そんな可哀想なことになっているのは2つだ。
残り二つは、氷まで綺麗に嚥下されている。
新しく注いで来るかな・・・思いながらも面倒なのでなかなか立ち上がれない政宗より前、哀れなジュースの担当者である二人がこぶしを握り締めている。まるでそれ以外のことを忘れたかのように煌々と映し出されるテレビに視線を釘付け、静かに息を飲んでいる。
肌を打つ音。
興奮した観客達の応援や、怒声。
それらを一身に受け、ひたすら拳を振るうファイター達。
画面右上に出されたテロップは『世界タイトルマッチ。果たして勝利なるか』。
やれやれ、という風に肩をすくめ、隣に座る佐助に視線を移せば彼もまた同じように苦笑していた。
ゴングが鳴る。
R12を見事やりきった。
王者の座を争奪すべく世界に躍り出た二人を、なんともいえない充足感が包み込む。
判定待ちでござる・・・、と幸村の呻くような声がいやに響いたのは、この部屋に他の音がないからだ。
何をそんなに夢中になるのか、あいにくと政宗には分からなかった。
世界一、というのはそんなに大切なことだろうか?
ごくり、固唾を飲み込む中、テレビの中の司会が淡々と点数を読み上げていく。
・・・そして・・・、
『世界の新チャンピョン、見事獲得したのは・・・、-!!』
「ぉおおおお!!」
「やったでござるぅうう!!」
若きボクサーの片手が高々と上げられる。
捲き起こる歓声に混じって、拳を握り締めていた二人もその両手で天を仰いだ。
それこそ近所迷惑を考えない大音声。
やっぱすげぇよ、すごいでござる、いやほんと世界一だぜ、世界チャンピョンでござるな、と早口に言い合う姿は微笑ましいながらもかなり鬱陶しい。
ちょっとちょっと!とあわてて佐助が止めに入るのをあきれながら見つめた。
ブラウン管越しに聞こえるのは、新チャンピョンとなった男の咽び泣き。
常日頃なら鬱陶しいことこの上ない男泣きも、今日はなぜだかさわやかに聞こえた。
「いやほんとすげぇよ!世界一だぜ!?すげぇよ、すげぇよな!」
「拙者は信じていたでござる!必ずチャンピョンベルトを獲ると最初から思っていたでござるよ!」
「嘘つけ、最初ダウンしたときにはもう駄目でござるーとか言ってたくせに」
「そ、それはそれ、これはこれでござる!」
幸村の額をはじいた元親の顔には満面の笑み。
よほど嬉しいようだ。
歓喜ほとばしるブラウン管に視線を移し、世界一っていうのはどんな気分なんだろうなぁ、と一言。
ぼろぼろと涙をこぼしながらも勝利に吼える若武者の顔は、確かに微笑んでいた。
元親の素朴な疑問に、氷の溶けきったジュースにやっと口をつけた幸村が、「ならば元親殿も世界一になるでござるよ!」と突拍子もないことを言ってのける。
「さすれば、万事解決でござる!」
「バァカ、世界一ってのはそんなに甘くないんだよ。それに俺に一体何で世界一になれってんだよ」
「赤点の数とか?」
「てめっ・・・佐助!」
「むむ、それならば拙者も世界一になれそうでござる!」
「いやいや、あのね旦那。そんなことで世界一になったってしょうがないから。一例だから」
「政宗殿は一体何で世界一を目指すでござるかー?」
「目指すこと前提なのか・・・?」
本当に突拍子もなければ脈絡もない会話が得意な連中だ。
まぁ自分もその中の一人なのだが・・・。
わずかな笑みにそう滲ませて、
「・・・そうだな。俺は別に世界一じゃなくでもいいかな」
「え?この中で一番野心強そうなのに・・・、意外」
「野心と世界一はあんまり関係ないように思えるでござる」
「どうしたんだ幸村。お前にしてはなかなか賢い子と言うな」
「しては、とは失礼ござるよ元親殿!」
号泣する若武者が思い描いた先が世界一。
しかし、自分が抱く願望はある意味世界一を獲得するより難しい。
嗚呼、いつか俺にもあんなふうに爽やかに吼えられる日が来るだろうか?
「世界一じゃなくていいのさ。お前の中の一番、であれば」
小さく呟いた言葉は、ブラウン管の中のやかましい演説と目の前で繰り広げられるやりとりに掻き消されてしまったけれど。

だから早く気づけ。
別に世界一になる必要はないと。
俺を、元親という名の男の中で一番にしてくれれば

それで構わない。















>>亀田長男世界チャンプおめでとうございます!!!いやもうホント感動した!!家族全員で見守ってました。
おめでとうございますとか言いながらダシとかネタに使ってしまうのは、もうどうしようもない腐女子根性故でございます。
現代パロでダテ→チカ、佐助、幸村お友達設定でした。
高校生な感じで。





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